砂漠緑化活動〜緑化の進め方

調査・評価

スタッフが一番労力を費やすのがこの調査・評価です。当会は、緑化を様々な角度から評価できるよう、調査に力を入れています。

緑化は、苗木を植えて終わりではありません。その後に管理をして育てることはもちろんですが、更に植えた苗木がどれだけ生き残り、どれだけ生長し、何にどれほど役に立ったかを知ることが重要です。我々は、緑化とは手段であり、その真の目的は植生の回復や多様化、砂漠化進行の防止、住民生活の向上と安定、温暖化防止などにあると考えています。こうした目的を達成するためには、単に植えた苗木の本数やその生存数のカウントのみでは評価ができません。そこで緑化ネットワークは、慶應義塾大学厳研究室のご指導・ご支援の元、現地に於いて主に4つの調査・評価を行っています。事業の成果をより客観的且つ多面的に評価するために無くてはならないもので、現在現地スタッフの主要業務がこれら調査・評価となっています。

(1)活着調査

現地での作業の最後は、植えた苗木が生存している数をカウントする、「活着調査」です。通常9月から10に行います。緑化地管理部が、担当エリア毎に行っています。ポプラや松など高木の活着は平均80%を超えますが、灌木など小さな苗木の活着は50%を下回ります。当会のこれまでの累計は、約59%です。ただし、植えた苗木以外でも、自然回復による発芽や繁茂、また種を撒くことでも緑は増えていきます。また、活着率そのものよりも、植えた苗木がどれほど防風効果を発揮しているかなど、実利の部分は活着率だけでは見えてきません。そこで、以下に述べる植被率資源量調査など、多面的な評価を行い、緑化事業の進捗と効果を把握しています。

(2)植被率調査

当会では、2m×2m4㎡)の正方形の枠を緑化地に設定し、その枠内を植物が覆っている割合、「植被率」を調査しています。枠内が全て植生で覆われていれば100%、植生が全く見られない場合は0%となります。これらの測定ポイントをおよそ5haに一つ、GPSにより座標を特定して任意に設定し、エリア全体の植物の繁茂状況を調べています。2年に一度、 同一地点(定点)での経年調査を行っています。植被率の向上は、草原への回復を計る最も分かりやすい指標です。植物が裸地を覆うだけでも飛砂が減少し、砂漠化の拡大が防止できます。また、草の構成種の増加は、多様な植生の回復や飼料利用など経済的価値の向上といった側面もあります。植物が最も茂る7月から8月にかけて行います。

(3)資源量調査

当初は砂が多く、植物も乏しいため資源量も少ないですが、緑化が進むに従って植生が回復し、植栽した苗木も生長して資源量が増加します。当会は、草は1m×1m1㎡)、木本は10m×10m100㎡)の枠とし、草本は乾燥重量、木本は胸高直径と樹高を測定したものをブロックごとに集計し、GPSで特定した定点付近で植被率調査同様1年おきに調査し、経年変化を記録します。種の増加は植生の多様化を、またその重量は炭素吸着量や経済価値を表します。例えば、牧草に適した種が増え、その重さも増加すれば、土地の生産量が増加し、飼育可能な家畜の数が増加したと判断できます。この資源量が増加し、利用価値が高まることが、地元住民にとって分かりやすく魅力ある緑化だと言えます。植被率調査と同じ時期に行います。

(4)社会調査

社会調査は、村落を対象としてその経済的、社会的、文化的調査を行います。特に村民の緑化に対する関心やニーズ、また村内に於ける派閥の有無や村幹部の信頼性、熱意などは、自然条件以上に緑化事業の成否を左右すると言っても良いほど重要なものです。仮に土地条件が悪いところあっても、高望みをせず土地にあったことをすれば緑化はできますが、住民が事業や我々部外者に懐疑的であったり、村の政治状況が不安定であったりすると、緑化以前の問題となってしまうからです。こうしたことに加え、集落の人口や農牧業の比率、村の土地利用状況や荒漠地の面積などを詳細に調査します。また、事前調査後は24年毎に調査し、緑化が集落全体にどのような変化をもたらしたかを評価します。