砂漠緑化活動〜三つの活動目的

支援のあり方

現地に住む人が自ら緑化し、緑を維持し続けていくことが最終目的。そのために適切な支援を行うことが大切です。


●誰のための緑化か

緑を増やすことは、全人類的な活動であり、その意味で緑化活動とは全ての人、あるいは生命のための活動と言えます。しかし、我々は、まずその地域に住む人々の生活安定と向上を目的とした緑化を行うことを重視しています。それは、砂漠化が進んだ直接の原因は、現地住民による行き過ぎた放牧や開墾(過放牧や過開墾)であり、これらを改めない限り、緑の回復は望めないからです。住民達は、自らの生業で痩せてしまった土地で更に収奪的利用を続けるしか術がなく、加害者と同時に被害者でもあります。だからといって、直ちに放牧や耕作を辞めろと言うのは無理です。それは、例えば温暖化防止のために、日本人も明日から車に乗らず、電気もガスもない生活をしろというのと同じです。

ホルチンでの緑化活動では、伝統的な農牧業を改善し、緑化活動によって回復した緑の保全と利用のバランスを取ることが成功のカギです。この、利用と保全は、他でもない地元住民が行うものです。ですから、住民支援とは、単に緑を増やすことだけではなく、再び砂漠にならないよう、住民と共に永続的な利用と保全のバランスを考えることに他なりません。そのために、我々は以下のような考え方で住民と接しています。


●三種類の支援

当会は、住民支援に当たって以下のように三つの考え方で活動しています。

(1)支援に関する考え方・・・支援者と被支援者の垣根を越えて

・現地住民が係わることなく、日本人だけで植栽、管理、保全を全て行い、立派な森ができました。

・日本人と共に現地住民が緑化活動に参加し、自ら考え、日本人のやり方を参考にしながら緑化を行いました。しかし、成果は芳しくありません。

2つの極端な例を挙げてみました。我々は、どちらを理想としているかおわかりでしょうか。前者は、過剰支援だと考えます。支援者が主役になってしまい、被支援者は観客席から見ているだけで、まさに傍観者です。仮に立派な森ができても、いつか支援者がその地を去れば、また家畜を放し、畑を作り元の状態にしてしまう危険性が高いのではないでしょうか。後者は、支援者と被支援者の区別がありません。それぞれが考え、持てる力を出し合って緑を作っていきます。結果として、被支援者も当事者として責任感や愛着、充実感をもって出来上がった緑を扱っていくはずです。我々の目的は、短期的な緑の増加ではなく、永続的な緑の維持です。そのためには、住民に接するに当たり、支援者として臨むのではなく、協力者として臨むことが望ましいのではないかと考えています。やってあげるのではなく、一緒にやる。そして、徐々に彼らだけでできるようにしていく。過剰な支援は、単なる自己満足に終わってしまいかねません。


(2)技術に関する考え方・・・地元に有る技術や知恵を活かす

井戸から水を汲むポンプを例に挙げてみます。

・日本製の高性能ポンプ。軽くて壊れにくいが、現地で部品がなく修理困難。

・現地製のポンプ。重くてすぐ壊れるが、部品が手に入り地元で修理ができる。

誰でも高性能ポンプを使いたがります。そして、一度使って成果を知ると、もう現地のポンプは使えなくなります。しかし、いずれ自立して住民自ら緑化を行うことになったとき、ポンプの部品はどうやって入手すればよいでしょう。保水材なども同じです。日本人には買えますが、現地では売っていないし、売っていたとしても住民には高くて買えません。このように、外から持ち込んだ技術や製品は、功罪両方の側面を持っています。継続と自立の観点からすれば、デメリットの方が多いとも言えるでしょう。我々は、地元性のポンプで、保水材を使わなくても潅水方法や高度が低く水分の多い土地で無理せず苗を植えるなど、地元にあるものや知恵を最大限利用して、緑化を行っています。技術は確かに素晴らしいのですが、過度に依存することは危険です。

(左は大きな現地調達のポンプ。大人3人がかりで運ぶ。右は日本製の小型ポンプ。小型・高性能)


(3)啓発・理解に関する考え方・・・理屈よりも結果を見せる

住民が活動に参加するためには、緑化活動の重要性、必要性、私益と公益の両立など、様々なことを理解してもらう必要があります。しかし、こうしたことを言葉で伝えてもなかなか理解してくれません。そこで、大きく育った防風林や回復した草原、苗畑など、具体的な成功例を積み重ねていくことが、彼らが魅力を感じて緑化に参加する具体的な説得材料となります。こうした成果を画像で、あるいは直接現場に連れて見せると、我々に対する猜疑心や緑化の小難しい理屈も一度に理解してくれます。まさに、論より証拠。そして、自分に利益があるとわかれば、後は向こうから「うちの村もこういう風にするには、どうしたらいいんだ?」と聞いてきます。そうなるともう緑化は半ば成功したようなものでしょう。後は、共に体験しながら少しずつ前進して行くのみです。

(ガボウ南の苗畑で採れた山アンズの実)